Book#13 軍艦島(2018)小林伸一郎さん
通称、軍艦島。長崎県長崎市にある端島はかつて海底炭坑があった島で、TVなどで取り上げられるから知っている方も多いでしょうね。1810年頃に石炭が発見され明治維新前も佐賀藩が小規模の採炭を行っていたそうですが、維新後の1890年から本格的に採掘がはじまり1974年の閉山まで採掘され、最盛期の1960年にはこの島に5300名もの人が住んでいたそうです。
島自体が6回もの埋め立て拡張を行ってできた人口の土地の上に人々は病院や学校、商店や遊技場、神社や寺など島だけですべてがまかなえるような施設を整えていったのです。それが国のエネルギー政策の転換から炭鉱のは閉山を余儀なくされ、用済みとなった島からは閉山の3か月後1974年4月にはすべての住人が島を去り無人島となりました。
今回の写真は、写真家の小林伸一郎さんが2017年長崎市の特別許可の下とられた作品を含む187点を収録した写真集で、人々の生活の残骸、信仰の跡などが収められています。そんな人工物の上に、どこからかやってきた草木が生えている写真は、印象的でした。
人の意思に造られた島が、人の意思によって打ち捨てられ、そして自然に還っていくその姿は、私には美しく見えます。
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