Book#14 木下杢太郎詩集
こんばんは。秋の夜長?読書の秋です。皆様はどんな本を今読まれていらっしゃいますか。
お邪魔させていただいているfumiさんのblog*日日是好日*で、先日、伊東の旅行がupされておりました。木下杢太郎に触れられていて、翌朝の通勤での読書は木下杢太郎詩集を選びました。なんでもきっかけですね。故に今週は、木下杢太郎の作品集を読んでいました。この詩集は、Abb´e Pr´evost のマノン・レスコーの翻訳者の河盛好蔵の選です。私が14年前に神田の古本屋で買ったのは昭和33年の第3版です。
木下杢太郎については少し思い入れがあります。というのも2004/7/19に初めたblog(当時はteacupを使っていました)で書いたentryが木下杢太郎詩集でした。
<2004年7月19日>
神田の古本屋街にて木下杢太郎詩集を見つけました。均一台(100円)の端っこで埃を被っていました。安い、買いです。
木下杢太郎(Kinoshita, Mokutaro;1885~1945)(本名;太田正雄)は、静岡県伊東の生まれで、詩人、劇作家、医学者という多才な人。1908年に北原白秋らとパンの会を結成。文学での業績もさることながら、医者としても日本における医真菌学の祖でもあるそうな。(水虫とかそういった菌の研究です。)
絵もさすがに上手く、日本の敗戦が濃厚になりつつある1943年3月から没年まで大学構内、庭、路傍の野草の写生を続け、後に「百花譜」として刊行されています。(伊東にある木下杢太郎記念館*1で絵葉書が売ってます。)
しかし、何でも興味があったのでしょうね、晩年の作品「すかんぽ」*2では、食べられる植物を書き綴っています。
「ハコベ。ウシハコベ。タンポポ(葉と根と)。オニタビラコ(葉)。春如※。タチツボスミレ。枸杞(くこ)(葉)。イロハカヘデ(葉)。山吹の新芽。藤の芽と蕾。榎(えのき)の新芽。ギバウシユ。ナヅナ。ヤブカンザウ(新芽)。ツハブキ(莖)。雪の下の嫩葉。ミミナグサ。スズメノヱンドウ。ヒルガホの嫩葉。ツクシ。アカザ(嫩葉及び果實)。カタバミ。ネズミモチの實(炒(い)り粉にしてコオヒイの代用)。ヨメナの新芽。椋(むく)の新芽。桑の新芽。柿の新芽。オホバコ。イヌガラシ。オホバタネツケバナ(水上の葉)。ヰノコヅチの新芽。トトキ(ツリガネニンジン)。スズメノヤリ。イヌビエ。ユヅリハの新芽。ジヤガタラ薯の新芽。ハマビシヤ(ツルナ)。ツユクサの嫩葉。スベリヒユ。クサギの嫩葉。スミレ。ツボスミレ。カラスノヱンドウの莢(さや)等。」
小生の友人にもいますよ、野草やら木の芽やらを食って、食って、食いまくっている輩が。
<すかんぽの最後の部分>
「數日後の夕、寄道してその少許(せうきよ)を採取し、クロオルカルキとか云ふもののうちに漬くること一日、之を短く切つて、まだ廚房に少し殘つてゐた油と鹽とを點じて食べ試みた。そしてその酸き味のあとに舌に觸れる一種の※澤(きやうたく)に邂逅して、忽然として疇昔(ちうせき)の情を囘想したのである。
すかんぽの話は之を以て終る。一箇月以來胃腸に疾(しつ)を得、可食の雜草からは遠ざかつてゐる。」
この後、そのまま入院し60歳で胃癌のため逝去しています。
*1<木下杢太郎記念館の場所>
HPが見当たらないので、静岡県のページから。
伊東に行くなら、ぜひ伊東の駅前をぶらぶら散策することをお勧めします。(栗蒸羊羹がおいしい。)
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****当時のwebsiteはもうなくなっていました(2018年9月21日確認)
*2<木下杢太郎の作品>
青空文庫で公開されています。(これはもちろん生きています)
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http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person120.html
<以上、14年前のentry>
その当時も栗蒸羊羹を推していましたね(笑)。大学の同級生の実家が伊東にあり、お邪魔した時に進めてくれたのが栗蒸羊羹でして、その時の味が忘れられないんだろうな。もう20年近く前の話です。Nさん、H君、元気にしてるかなぁ。
fumiさんのblog↓
http://hime1123.blog55.fc2.com/blog-entry-854.html